福井県小浜市までドライブに出かけてきました。
今回の目的は明治時代に建てられた蓬嶋楼を見学すること。
愛知県から2時間ほど車を走らせて到着です。
蓬嶋楼(ほうとうろう)は小浜西組(にしぐみ)地区にある築130年ほどの旧料亭。
昔の街並みが残る小浜西組地区は「重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されており、蓬嶋楼もまた、その歴史ある街並みの一角をなし、往時の風景を今に伝える建物の一つとなっている。


お店は平成元年くらいまで実際に営業していたとのこと。
一つの建物が明治から平成が始まるころまで役目を果たし続けてきたことにまず驚き。
「昭和7年頃の写真をみると現在とほぼ変わりのない建物の様子がうかがえる」と案内パンフレットにあることから、往年とほぼ変わることなく残っているようだ。


見所の一つは2階座敷。
ここは天井には秋田杉の一枚板、壁には大阪土が使われ、欄間や障子にも職人の手仕事が一つひとつ残っている。
それほど広くない空間だけれど、銘木が使用されおり、欄間や建具をはじめ細部まで丁寧な職人の仕事が施されている。
この限られた空間の中に様々な意匠が散りばめられていて、充実した見学となった。



デザインにも工夫があって床の間には、三日月形にくり抜かれた「洞床(ほらどこ)」が設けられている。


案内のパンフレットには相当昔に撮影されたと思われるこの座敷のモノクロ写真が掲載されているけれど、座敷の様子がほぼ上の写真と同じでやはり驚き。
折屏風や床の間の掛け軸まで一緒。位置まで同じ。
思った以上に「当時の姿のまま」保存されているらしい。
座敷には実際、芸妓さんが使用していた三味線や締太鼓も展示されている。
外を眺めると、瓦葺の屋根が折り重なっていて、かつての茶屋街を思わせる風景。
かつては通りを歩いているとどこからか三味線の音が聞こえてきたのだろうな、と想像させるような眺めだった。


ちなみに、こういう芸妓さんがいる料亭は、通常の飲食代や酒代に加えて芸妓さんの演奏代とかもあって、結構な費用だったとか。
時代劇で、芸妓さんの三味線に合わせて、酒を飲みながらみんなで楽しそうに手拍子をしたり歌ったりするシーンがあるけれど、あれはなかなか贅沢な遊びだったんだな。
蓬嶋楼は建物だけではなく、その場所で流れていた時間まで感じられる素敵な旧料亭だった。


蓬嶋楼を出た後は、お腹が減ってきたのでせっかくだから小浜西組地区にあるこれまた旧料亭の「酔月」で昼食をとることに。
ここもまた明治初期に建てられたもの。


建物内部はもとの意匠を残しつつもきれいにリノベーションされていた。
予約客もいたので「難しいかな」と思ったけれど、すんなり案内してもらい、スムーズに席へ。
小浜は鯖が有名らしく鯖街道なるものがあるくらいで、大変魅力的だったのだけれど、メニューの写真を見て悩んだ挙句、若狭牛すじ肉カレーを注文した。


Googleマップで小浜を見ていると、寿司や海鮮丼のお店が目につき、牛すじ肉カレーを食べた直後だというのにまだ心残りがあった。が、この後まだ行きたい場所があったので、もう一食というわけにもいかない。寿司と海鮮丼への思いを断ち切り、先へ進むことに。
お店を出て、小浜西組地区を歩くとすぐ向こうに海が見える。
この地区は背後にすぐ山が迫り、その一方で海もまた近い。
町並みの間から海が見えると、ちょっと海辺を歩きたくなった。
料亭で過ごしたあと、ぶらぶら歩いて海を眺める。
昔の人も同じようにすごしていたのでは。

人がそれなりにいたので、写真は撮らなかったけれど、海辺には子供を連れた家族が何組か海水浴をしていた。といっても浜に近いほんの浅瀬で、浮き輪でぷかぷか浮かんだり足をひたしたり、といったささやかなもの。
観光地化した大規模な海水浴場ではなく、地元の人がのんびり過ごす場所といった光景。
もちろん僕は泳がず、ちょうど木陰にベンチがあったのでそこに座って小休止。
しばらく海を眺めることに。

ふと「こういう夏は久しぶりだなあ」と思った。
というのも、僕が普段暮らす名古屋エリアはこの日も40度近く、お盆前のこの時期は、正直いってコロナ禍でなくとも毎年自粛気味になっていたから。
この日の小浜は33℃ほど。
33℃はもちろん涼しいとは言えないけれど、ここは海からの風が穏やかに吹いていて、木陰にいると、だいぶ過ごしやすい。
夏が楽しめるのは33℃までくらいだよなと改めて思った。
